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「教師の働きすぎ問題」について、新米先生に実態を聞いてみた。

2017.05.16

こんばんは!

自由になったサル(@123Vaal)です。

今回は最近話題の「教員の働きすぎ問題」について考えてみようかと思います。

 

僕は昔から学校の先生になるのが夢で、その夢のために大学まで頑張ってきたのですが、、、今は結局、先生という職業には就ていません。

だから、僕だけではこの論には言及できないなと思ったので、友人の20代後半女性、社会人経験も持った新米教員に実体験の話を聞いてみました。

教育ってとても身近なので、この記事から皆さんも考えてみてください。

ある放送をみて、違和感を感じた。

先日、こんな動画をみたんです。

簡単にいうと、”先生の働きすぎ問題”について。

 

この動画で言及されていることは、

・現職の公立中学校の先生の6割が過労死の目安を超えた時間、働いている

・働いていると昼食もとらずに生徒につきっきり

・時間外労働に関して手当ては支給されない

・先輩教員や保護者からの視線でプレッシャーを感じる

というような内容です。

 

「あ〜先生大変だな〜。」

「これはひどいな〜。働き方改善してやれよ。」

 

こんな声がいろんなところから、聞こえてくるのですが、僕はとても違和感を感じているのです。そう、違和感。

ん〜なんか違うな〜。なんか違うんだよな。

先生って働きすぎなの!?

そんな違和感が現場で働いている先生からはどう感じるのか、実際に聞いてみました。

まずは、「先生って本当に働きすぎなの!?」ってことについて。

サル
さて、上の動画みましたよね?率直にどう思いました?
A先生
うーん。そうですね、サルさんの言うように実際に働いている時間は長いと思うし、間違ってはいないんだけど、言及してる本質的な問題はそこじゃないと思うんですよね。
サル
そうですよね!どんなことが問題だと思われますか?
A先生
私は教員として働き始めて2年目なのですが、いつも思うのが教員の仕事はとにかく無駄が多いんです。
サル
ほう!無駄と言いますと?
A先生
私は教員の仕事の一番大事なことは「こどもと関わること」だと思っています。だからこそ、できるだけこどもたちが学校にいる間はこどもと関わる時間にしているんですが、今の先生たちの働き方ではそれが難しい状況にあるんです。

特に無駄なのが、「アナログ」文化です。今でも学級通信を手書きで書いている先生とか、プリントなどを手書きて書いている先生たちがいるんですよ。

サル
え?まじっすか?あ、でもこどもたちも手でかかせてるわけですし、それは必要なことでは?
A先生
いや、確かに手で書くことはこどもたちにとってとても大事なことだと思いますが、こどもたちはほとんどが塾や通信教育も受けてて、特段手書きで書かれているものに対して意識をしているとは思えないんです。

ただ、どうしてもパソコンの活用スキルが低すぎて、ワードやエクセル、パワーポイントなどの普通の会社員なら当たり前のスキルを誰も持っていないってのが業務効率的にとても問題ですよね。

リテラシーが低い、というか、業務効率を良しとしない文化

サル
まじっすか!?先生たちOfficeも使えないんですか??
A先生
あ、いやもちろん最低限使える人もいますよ。ただ、それを活用して業務効率上げようみたいな文化はまずないし、最新の技術に頼るのは負けみたいな文化というか、空気感があるんですよね。

だから、なぜかみんな手間のかかる方かかる方へ進むんです。ほんといろんな意味ですごいです。

サル
まじか〜その手間を省ければもっと有意義に時間使えるんでしょうけどね。人によって時間を削減させる努力はしないんでしょうか?
A先生
まず、時間を削減して、業務を効率的にやろうみたいな考え自体がないんですよ。手間をかければかけるほどいいみたいな。サクッと仕事終えてる人とか見たら、「あの人、手抜いてるよね」みたいに言われちゃいますからね。正直新人からすれば怖いですよね。
サル
まじか〜先生たちの中でそういう雰囲気ができちゃってるってことなんですね。
A先生
そうです。そういう空気感に勝てる人もいないですし、結局上司が変わらないと、下は今までのそうした文化を受け入れて、変わらない文化を良しとしていくようになっていってしまうんですよ。

本質的な問題は「外部を受け入れず、変化を好まない体質」

サル
なるほどな〜個人個人の問題ってわけではないってことなんですかね?
A先生
いや、そうでもないです。正直、個人個人が自分なりに考えて、新しいことを外部に出て学んで活かすことができればこうした問題は起きにくいと思っています。
サル
でも、それを受け入れていないのは個人というよりかは団体(組織)なんですよね?
A先生
そうですね。ほんと学校って外に開かれていないんです。外部の関わりを作ることがとてもむずかしい場所でもあって、外部からの学びや影響を受け入れない文化があるんですよね。
サル
なるほど。つまり、個人個人で考えて外に出て、学び、生かしていくことはできるけど、組織自体になじませその形を反映させていくのはとてもむずかしいということですか?
A先生
まさにおっしゃる通りです。個人個人で意識を持って、やれている人はほんと仕事も早いし、自分なりの教育論や考えもしっかり持っています。でも、組織にどうしてものまれて、そこから変化を好まない人が大多数なので組織はなかなか変えられないってのが問題の本質だと思いますね。

評価制度を作って、資本主義化する教育になってはいけない

サル
じゃあ、どうしたらこうした問題は解決できると思いますか?
A先生
教員1年目は、評価制度を作る必要があると思いました。私は、某大企業でバリバリ働いていたこともあって、会社では最低限の評価制度があったし、それによって手当てや待遇が変わるメリットもありました。

だから、”教員にもそうした評価制度を作ってみては?”と思ったんです。

サル
なるほど、理にかなっていますね。
A先生
が、同僚の教員とそれについて語ったんです。その時に、「先生の評価ってどうするの?先生を数字で計るということは、生徒も数字で計ることになって、より教育格差を生むことになるのではないの?」というようなことを言われ、考えは変わりましたね。

今の日本の教育制度の中に先生の評価制度も入れると、上記の問題は解決されても、こどもたちのためにはならないなと感じたんです。

サル
ふむふむ、生徒の評価制度を先生の評価にも使うことになると、評価される生徒を育てるために先生はがんばるから、不平等になっていくことが予想されるってことですね。
A先生
そうです。実際に私の鈴木大裕さん著書の崩壊するアメリカの公教育アメリカの公教育はほぼ完全に評価制度が確立していて、そのことで、評価の高い先生は評価の高い学校に行って、お金を持ってて、教育にお金を使える人はその評価の高い学校に入れられというような構造になっています。

だから、金銭的な理由で教育の質が全然変わってきてしまうというような状況になっているんです。そうなることは公教育の崩壊を招くことにつながると思うんです。

サル
難しい問題ですね。一概にこれがいいということもできないわけですね。
A先生
そうですね。組織としてどうなるかってことよりも今は、一人一人の教員が意識を持って行動していくことができるようになっていく必要はあると思います。本当にこどものことを考えるなら、今の環境は正直いいとは言えないなと。

仕事とやりがいのバランスを考える必要がある

サル
さて、そろそろまとめに入っていこうと思うのですが、今回の話で言えば一人一人が業務効率をあげていくことが大事ってことでしたよね?
A先生
はい、上記の動画であげられているように求められる業務や役割が多いのは確かです。それに人の人生を背負う仕事であるということもあるので、見えないところで実質的に働く必要がるのも確かです。

が、全てが負担の多い仕事というわけではなく、個人個人が選択のできる範囲での仕事が多いと思っているので、仕事とやりがいのバランスを保つことが重要ではないかと思います。

サル
そうですよね。教育って仕事自体、無限に考えられるし、100%いいものを目指していくことも重要だけど、それでは実際、荷重労働することになってしまいますもんね。
A先生
そうなんです。実は私も、結構遅くまで仕事してしまう人なのですが、自分の体調やその時々の状況を加味して、早く帰って自分のプライベートをする時間もしっかりとるようにしています。

実際、業務を効率化して、無駄な時間を省くことができるようになれば、もっともっと自分なりに考えたいい教育を実現するために時間も使えるし、自分のプライベートな時間もとれるようになると思います。

サル
やはり、うまくこの時代の技術を取り入れることが大事ってことですよね?
A先生
はい、いいと思うことはちゃんと取り入れて、特に若手の教員の人でも先輩教員に「こういうものだ!」と言われたことを無条件に受け入れるのをやめることですね。自分がいいと思うものをしっかり取り入れていくスタイルにしてかなければ、こどもたちにも教えられないですよね。
サル
なるほど〜ありがとうございました!先生も2年目、無駄は省いて、しっかりこどもたちに時間を使えるように頑張ってくださいね!また、話聞かせてください。
A先生
はい!頑張ります。周りの教員の人たちも外に連れて行けるように努力してみます!こちらこそ、ありがとうございました。

 

まとめ

今回は学校の先生の労働環境を題材として教育について考えてみました。

ご紹介した動画で問われていた「教員の働きすぎ問題」に関しては、やはり一面すぎる議論ではないかと思います。

実際に、こどもたちと対面して働いている先生たちにその時間を短くしなさいってのもまた違った話ですよね。

だからこそ、現代の教育の現状や課題について、もっといろんな人たちが議論していくべきだと思うんです。

そして、先生たちだけにこどもたちの教育を任せていく風潮を変えていき、地域や社会全体でこどもたちの成長環境を作っていけるようになれば、今回のような課題も少なくなっていくのではないでしょうか。

教育についてはまた別の視点からも議論していこうと思います。では、また。

 

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