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できる人ができることをやる。NPO法人わのわ会 安岡千春

2015.04.25

できない人にできないことをやりなさいって言って、できるようになるにはとても大きなストレスとエネルギーを使うけど、できることを一生懸命やってもらって、できる幅を広げていくほうがよっぽど楽しいしやりがいがあると思いませんか?

私たちは障害者支援の団体ではありません。

今回は高知県中部にある日高村のNPO法人わのわ会という団体の事務局長である安岡さんに話を聞きました。
わのわ会は地域の中の困りごとを解決するために様々な仕事を作り、それぞれの人に役割を与えるという活動をされています。最近では商品にはならないトマトを活用したトマトソースの開発やトマトを主軸にしたイベントなどの開催されているみたいです! 

※わのわ会の行われている活動に関してはHPを参照ください。

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わのわ会の始まったきっかけはなんだったんですか?

私たちは平成15年から、住民有償ボランティア活動グループわのわという団体りました。私自身が平成10年から子育て支援センターの担当の保育士でそこに来ている、お母さんたちと仲良くなって、家庭保育中の子育て支援センターは一緒に遊びに来る場所だったんですが、遊んでいるうちに遊ぶばかりじゃつまらないだろうってことで、何かできないかというふうな話になったんです。そこで子育て支援センターがあり、障害者のデイサービスがあり、高齢者のデイサービスとか、引きこもりに関してとかいろんなことをやっていても、行政の縦割りでの啓発活動って関心のない人に聞いてもらいたいのに、関心のある人しか来ないじゃないですか。なのでお母さんたちにできる仕事をしてもらうことでそれを横につなぐってことをし始めたんです。まずは子育て支援センターに来ているお母さんたちが、子どもを子守するチャイルドルームとご飯作るのが上手なお母さんたちが喫茶を始めました。得意な分野で得意なことをして、みんなに認められて褒めてもらって、ありがとうと言ってもらって、充実感を得てもらうことを大事にやってきたのがわのわ会です。

お子さんを預けている時間を有効活用しようという感じですか?

そうですね。お母さんたちも子どもと遊んでばっかりでは疲れるじゃないですか。人の役にたつというタイミングをつくりたいな、何かの役に立つってすごく充実感を感じられることなんじゃないですか。村も協力してくれたのでやりやすかったです。行政も縦割りでは横のつながりをつくることはできないので、なので、横のつなぐ部分を我々がやろうということになって、予算は縦で出してもらって、使うのは横で、しかも自由に使わせてもらいました。だから理解者がいたからやってこれたってことなんですね。

わのわ会は企業ではない。NPOと企業の中間

企業でも、NPOでもないその中間を作っていこうと思っています。就労規定とかなんとかいっていると、企業がなんとかこうとかって感じ。最近そうなってきたんです。でも就労の場所を増やそうという動きはNPO的な動きで、自分の好きな時間に仕事をするという感じなので、企業では難しいですよね。お金は対価として絶対に大切なものだとおもっているので無償のボランティアではなく有償ボランティアというふうにしています。そして、そのお金も公費じゃなくて、地域で回していく。それがどんな地域でもやっていけることになったらいいなと思っています。困っている人のために自分たちが仕事をつくるってことをやれればいいと思うんですね。これは企業も手を出しにくいニッチなところだから、利益が生まれにくいんですね。なので、そのなかでどうお金をうまく回していくかってことがとても難しいです。でも、充実感だけでは毎日の生活は成り立たないので、やっぱりお金ってものが対価でついてこないと難しいですよね。それはずっと継続していくための手段でもあるんです。NPOもたくさんあるけど、やり始めた人が熱量もってやってても、その人が継続していく熱量がなくなったら、続かなくて、だから新しいNPOが消えてはできて、消えてはできるってことになるんだとおもいます。NPOでも消えないためには次の世代を作って、次が消えないようにやっていかないといけないとおもいます。

その人にあった仕事(役割)を作る

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わのわ会にはたくさんの仕事があるんですが、いっぱい仕事があることでその人にあった仕事を見つけられるという利点があります。その人にあった場所で仕事をすることができるんです。例えば、関わるお母さんの子どもが学校でうまくいっていないという話をきて、だったら学校とも関わろうということで、総合学習の時間で畑学習をはじめました。それを、地域のおじいちゃんに教えてもらう。なんでおじいちゃんかというと、おばあちゃんはデイサービスにいって、話する人は多いけど、おじいちゃんは家で引きこもっているから役割を持ってもらおうということで畑を教えてもらっているんです。だから、ただ、色んなことをやるのではなくて、やることに地域の人を丸ごと引っ付けていくということをやっています。

地域で一体感を作る取り組み、オムライス街道

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昔の日高村からどんな感じに今なってきていますか?

昔は閉鎖的でしたね。それが協力しあおうって雰囲気は出来てきた気がします。オムライス街道とかでもさらそう思いました。人を認めてくれるコンパクトな村になってきたなと思います。飲食店が協力しあってってなかなか難しいんですよ。ヒットするところとそうじゃないところもあるじゃないですか。そうするとうちの売り上げがどうとかこうとかあるんですね。だから、何か一緒に決めて、やろうよってうごきはすごく難しいんです。このオムライス街道を始めるにも3年くらいかかったんです。でも、第一回は6店舗が参加してくれて、最終33,000食以上を売り上げました。第二弾は12店舗を予定しています。段々と協力してくれる人たちも増えている気がしていて、変わってきたなと思います。6月の中旬から始まる予定なのでよろしくお願いします。

なんでオムライス街道をやろうと思ったんですか?

オムライス街道では日高村のトマトを使うっていう統一感を大切にしたんです。みんなが一致してやろうというのが今までなかったから、それを目指したかったんです。最近は日高=トマトと言ってくれる人も多くなってきたのんが嬉しいし、村長も一生懸命出そうとしているのが田舎らしくていいでしょ(笑)村長におじさんたちがオムライス食べる人が多いんですよって話をしたんですよ。なんでかっていうと、ちっちゃい時にお母さんオムライス作ってくれましたよね。でも、大きくなってオムライス作ってくれますか?オムライス作ってって言われれば作るけど、そうじゃないとなかなかつくらいないですよね?子供の頃はおかあさんがけっちゃぷで子供のために絵を描いたりするからつくるからですけど、年がいって結婚して40ぐらいになって、奥さんはオムライス作るでしょうか?だから、ちょっと年のいったおじさんがオムライスを食べたくなるんじゃないかなってことも一理あると考えています。お皿をみたらその頃が蘇るってことがあると思いますね。そういう意味でオムライスって特別なんです。

みんな同じ人間なんです

今このような活動をされていますが、子どものころからいろんなことに積極的に取り組まれる方だったんでしょうか?

そうだったかもしれませんね。日高村って昔、同和地区って言われている部落があって、私の家の近くにもあって、わたしはそこにある幼稚園に通ってたんですよね。45年くらい前は学校では同和教育ってのもあったんですよ。それで、授業の終わりにかならず感想文かかないかんかったんですよ。それが嫌で、名前だけ書いて先生に真っ白で出して、それで自分のことを書きなさいって言われて、でも、なんでこんな教育をするのか?こんな教育をするのがまちがっちゅうというのを書いたら、またそれで怒られて。同じ人間やのに。うちに友達が遊びに来たとき、母がその当時珍しいインスタントラーメンを一つ作って、それをきっちり同じ量を分けてみんなで食べた記憶があります。そんな風に誰にも平等に接してくれる母に、なんでみんな差別するんかなって聞いたときに、みんな同じ人間だよってことを教えてくれたんです。他にも養護学校の寄宿舎の寮母をやっていたことがあって、そこの時も先生方に「なんで同じに対応しないといけないのか」って聞いたとこがありました。片方の子は部屋中をぐっちゃぐちゃにするこもいれば、また片方では字が書けて交換日記が出来る子がいて、その子と交換日記を始めたら、先生からそれは一人だけとするのは不公平だからやめて下さいと言われて、それは違うとおもいました。出来ることをできる人とやっていかないといけないんじゃないかなと思ったんです。それが今につながっていると思います。母の教えのみんな同じ人間だよっていうのと、寄宿舎で感じた辛い経験が今に生きているなと思います。その二つが今の私を作っているなと思います。

指導ではない。できることをできる人がやる

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地域の困りごとを解決するってことで、仕事をふやしてきたので、最初は子守とか喫茶でしたが、そのうち行政の委託事業をしたりしてました。ミニデイサービスのおばあちゃんたちのお世話をしたりとか、元気なおばあちゃんの部屋の片隅で子どもたちが遊んでいて、いつもおばあちゃんたちの周りを車にのってあそんでいるって感じ。お母さんたちに「子育てするのは大変よね?」って言ってくれたりとか、おばあちゃんたちがあめとむちで「飴あげるから静かにしなさい。」とか、いかんことはいかんと言ったりするのをお母さんたちが見て、お母さんたちも高齢の方の生活を見て、動きづらいねって理解出来る。そういう相互関係が必要なんだと思うんです。それは障害者の方の理解にもつながっていて、できることをできる人ができる時間でやるってことはずっと変わってなくて、無理はしない。指導はしない。指導ではない。できないことを無理して、やるより、できることを一生懸命やって、褒めてもらって、次のステップに行く方が早いと思うんです。だから無理をしない。カレーを入れるばっかり2ヶ月やる。カレーを入れて、ご飯を入れてって、それは違うっていう感じに指導するのではなく、できることをとにかくやってもらう。その方が身になりやすい。その方が気がつくんですね。だから、気がつく場所を作っていく場がわのわ会かなと思っています。

そう思われたきっかけとかあるんですか?

そんなことを考えるようになったのも、保育園に保育士として入っていた時に、ある先生がこどもに片付けをさせるときに、自分で片付けるんですよ。片付けるよ片付けるよっていいながら、自分で片付けるんですよ。わたしはそれって指導じゃないやろって思ってたんですが、それを半年やってると子どもたちが自発的に自分たちで片付け始めるんです。自分がやって見せて、気づかせるってことが大切なんですね。だから、それを見て今の自分があるんだとろなと振り返ってみて感じます。あ、そうなのかって気づくのが大切なんだということをその経験から学びました。

毎日、ひとつひとつのことが楽しい

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NPOやってきて大変だったことは何かありますか?

みんな、なんで大変なことを聞きたがるんですかね?(笑)わたし、大変だったことはマイナスに考えないんですよ。今こうしているのはその大変さを経てきてあるので、大変だったかもしれないけど、ぜんぜん平気。NPOやり始めて、3、4年ぐらいは365日の360日ぐらいはNPOの仕事をしていましたけど、そこから、部長制度を設けて、5人の部長立てて、その部長が部をまとめてくれていますね。そうすることで仕事もだいぶ減りました。なので、5年前くらいからは月に一回くらいは休みがもらえるようになりました。

年間、7日ぐらいしか増えていないですね(笑)

でも毎日毎日が楽しかったんですよ。例えば配食サービスのやつでは人によって注文が違うので担当者は覚えているけど、担当者が変わるからきちんと表があって、それに記入するようになっているんです。確認の印鑑を押すところも、誰が配達して、誰が受け取ったのかがわらるようになってて、回収してきたものにどのくらいの食べ残しがあったかもわかるようになっています。おうちのものが混じっていた時も誰が配達してきたのかわかるので返しに行けるようになってるんですね。こんな感じで手抜かりがないようにみんなでルールを作っていくというところとかがすごく楽しかったです。

東の馬路、西のとおわ、中央の日高

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今、楽しみにしているのは、東の馬路、西のとうわ、中央の日高にしたいんですよね。東は馬路が商売としてやっていて、西のとうわは地域おこしみたいな第三セクターみたいな企業に地域を巻き込んだみたいなことをやっていますよね。中央は地域に残った弱者と呼ばれる人たちが地域を盛り上げるみたいな西でも、東でもない中央っていうものを作っていきたいと思っています。

なんでも言っちゃうことが大事

こんなんいったら、みんなに笑われるんやけど、でも今までも、「このソース絶対サニーマートにおくきね」っていってたら、ほんとにサニーマートにおけるようになったし、今は伊勢丹や高島屋におこうっていうのを持ちながら目標持ってやっていくのがすごく楽しいですよね。声を上げていくことで共感してくれる仲間がどんどん増えてきたって感じなんですよね。言ったものがちなんですよね。有言実行ですからね。絵に描いていることはできるってことなんですよ。そう言われるに値するくらいのことをやっていきたいですね。

わのわってどういった由来なんですか?

人のわ、話のわ、平和のわ、笑顔のわがつながるわのわ。大きくなりながら繋がっていくわがわのわです。  

安岡さんの言葉はなんというかすんなり入ってくるんです。経験則が今のアクションにつながっていて、考え方なんかもめっちゃ素敵やなって思いました。僕自身も「気づかせる教育」とか「今はできないことでも自分の頭で描けることはできる」ということはものすごく共感しました。それについてもまた記事書きます!
いや〜中央の日高!もうそう言われる日も近いですね^^

高知はめちゃおもろい人の宝庫なので、バンバン紹介していきたいと思います!

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矢野 大地 (やの だいち)


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