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【鹿・なめし革】野山を走る鹿から、毛革になるまでの全行程をまとめたよ

2018.06.09

どうも、週に2日は山を駆け巡り鹿・イノシシを追っている自由になったサル(@123Vaal)です。サルなのか、鹿なのか、イノシシなのか分かりづらいという意見は受け付けません。笑

 

さて、早速実際に僕がやってきた工程を以下で紹介していきますが、少しショッキングな写真とかもあるかもしれませんので、あまり得意ではない人は読み進めることをオススメしません。

また、あまりグロさを伝えないためにも、白黒で加工してあるものがありますが、リアルな状況を知りたい方には少し物足りないかもしれませんがご了承ください。

 

・実際に、なめし革を作ってみたい!!!

・なめし皮ってどんな風に作ってるの?

 

みたいな人はとても参考になると思うので、どうぞ読み進めてみてくださいね。

きっかけは自分自身で1から手がけた罠にかかった1頭の鹿

僕は狩猟を初めて、3年目。

まだまだ新米猟師です!

仕事も別に色々としながらなので、ゆっくりですができることを増やしてきました。

 

で、ついに先日、自分が罠を作り、場所を決めて、1から全て自分自身で手がけた罠に鹿がかかったんですね。

今まで、積み上げてきた経験もそうですが、やっと獣の気持ちがわかってきたなと嬉しさがこみ上げてきたとともに、有害鳥獣として指定されてる鹿・イノシシなどの獣にも生きてきたストーリーとかがあると改めて実感したんです。

 

そこで、以前からずっとやりたいと思っていた、肉をいただくことだけではなく、皮も骨も全て利用してストーリーをつないでいくということでした。

 

以下色々な情報を参考に僕なりに考えて、鹿のなめし皮を作ってみたので参考にしてみてください。

①鹿をさばき、解体する

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まず、猟師をしている人でなめし皮をしようと考えている人が1番に意識すべきポイントがさばく時にしっかりと毛皮と肉を綺麗に剥がしていくというところです。

 

鹿の皮は他の獣の中でもとても簡単に皮と肉をはがせるのですが、どうしても強引に剥がしてしまったりすると、肉片が残ってしまって後から処理が大変だったり、またナイフで毛皮に傷をつけてしまったりすることがあります。

生皮の時にはあまり気にならない傷であっても、乾燥させて、完成形に近づいた時に目立ってきたりします。

 

せっかく労力をかけて作ったのに、綺麗にできなかったらもったいないですよね?

 

なので、複数人で解体する際にも皮をできるだけ綺麗に剥がすことをオススメします!

 

また、剥いだ皮は必ず綺麗な水などにつけておきましょう。

地べたに置いておいたり、川の水に浸しておくなどするとどうしても皮の内面に泥やゴミが付着してなかなか取れなくなってしまいます。

②皮を洗い、肉片や油身を取り除く

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野生の鹿の皮には、マダニなどの虫がついていたり、自然な汚れがついています。

なので、まずはしっかり洗ってあげます。

 

洗う際には、食器用洗剤・洗濯用洗剤どちらでも構いませんので、中性洗剤を使うようにします。

大きめの桶などにきれいな水を張って、中性洗剤を適量(10mlほど)入れて、何回か水を入れ替えながら洗っていきます。

 

最初は少し茶色っぽい色の水になりますが、4、5回繰り返して行くと、どんどん水が汚れなくなってきます。

 

そうしたら、肉片や油がまだ残っている場合は、ナイフでひとつひとつ取り除いていきます。

この作業が、大きな皮だと、半日以上かかってしまうので、超大変ですが、サボると腐ってしまって上手くなめしができないので、頑張ります。

 

この際、切れ味の良いナイフを使ってしまって、皮に穴をあけてしまわないように注意して、できるだけ切れ味の悪いナイフなどを使ってやるようにしましょう。

 

 

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ちなみに、裏技としてはナイフなどでやるのはとても時間がかかるので、僕は高圧洗浄機を使って洗っています。

1枚の皮に対して、30分ほどででき、少し残った肉片や油などはナイフで取り除けば全部をナイフでやるより相当効率がいいのでオススメです。

③中性洗剤などで洗浄、半日ほど漬け込む

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裏すきが綺麗にできたら、水10:塩1の皮全体が浸る水溶液を作り、そこに先ほどと同じ中性洗剤を適量(10mlほど)入れ、少し混ぜたのち、半日間ほど漬け込んでおきます。

 

この際、半日以上つけてても問題ないと思いますが、毛が抜けやすくなったりする場合があるという情報も聞いたので、あまりつけておきすぎないようにした方が良いかと思います。

④ミョウバン液を作り1週間〜10日ほど漬け込む

半日、中性洗剤につけた皮を取り出し、水などを全て捨てた後、皮をしっかり水で洗い流し、洗剤が残らないようにします。

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そして、一度しっかり水気を絞ったのちに、次は水10:生ミョウバン2:塩1の水溶液を作り皮が全体に沈むようにつけて、石などの重しを乗せて1週間〜10日間漬け込みます。

 

この際、ミョウバン、塩などが水に溶けやすくするために約60度ぐらいのお湯に入れると良いそうです。

また、ミョウバンですが、薬局やスーパーなどに行っても焼ミョウバンなら置いているのですが、生ミョウバンはないことが多いです。

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なので、生ミョウバンはネットで仕入れることをオススメします。

※記事下にリンクを張っているのでそちらからどうぞ。

⑤ミョウバン液を洗い流し、しっかりと水気を絞りとる

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ミョウバン液につけてから約1週間ほどが経ったら、液から皮を出して、綺麗な水でミョウバン液を洗い流します。

そして、水がボタボタと落ちない程度まで絞ります。

⑥木板に貼り付けるor木枠などに紐でひっぱりながら吊るす

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乾燥の仕方はいろいろありますが、今回は板にクギで打ち付ける方法でやってみました。

皮は乾燥してくると収縮しようとするので、できるだけ引き伸ばした状態で、釘を打ちましょう。

 

最終的には引っ張ったり、伸ばしたりしながら、硬くならないようにすることが良い皮を作るにはとても大事な作業になります。

なので、上記の図のように皮を木枠につけた紐などで引っ張る方法の方が全体に引っ張りやすいので、良いかもしれません。

が、板に貼り付ける方法よりもめんどくさいので、その辺は時間とのバランスですね。

⑦定期的に、皮を押したり伸ばしたりしながら固まらないようにする

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乾いてきた皮はとても硬くなっていきます。

なので、毎日状態を見て、硬くなりかけてきたら、1度クギを外して引っ張って、まだ乾燥しきれてなかったら再度貼り付けるなどして、ガチガチにならないように気をつけましょう。

⑧乾いた後は、再度伸ばし固まらないように注意

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十分乾燥したなと思ったら、板から外して、湿気の少ないところで保存します。

その際、乾燥させている時と同じように、毎日10分程度でいいので、皮を引き延ばしたり、揉み込んだりしながら固まらないように注意して保存しましょう。

 

※⑦と同じような工程ですがやってみると、意外とこれが重要なので、あえてどちらも書いておきました。

⑨ブラッシングとヤスリがけで最後の仕上げ

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毛皮の場合は、毛が命なので、乾燥したらしっかりとブラッシングをしてあげます。

粗めのブラシで何度かブラッシングをしたのち、使わなくなった歯ブラシなどを利用して細かく残っている毛を取り除きます。

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天然の鹿皮なので、どうしても少しはけが抜け落ちたりすることはあると思いますが、油などを塗り込みしっかりと手入れすれば問題ないと思います。

 

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また、仕上げとして、内側の面を紙やすりなどで紙ヤスリなどでヤスリ掛けするととても綺麗な白の革になるので、仕上げもしっかりしておきましょう。

 

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じゃーん!

これでなめし革の完成です。

(全行程を通して、約1ヶ月ほどかかります。)

今回、参考にした書籍

今回、作業工程で1番参考にしたのがこちらの本!

狩猟を始めてから疑問が湧いてくる様々な方法、また料理やなめし皮の方法まで書いてありとても参考になる本です。

狩猟を始めたばかりの初心者の人のバイブルになること間違いなしなので、この機に買っておくことをオススメします。

使用した道具・薬剤など

この中でも普段家にはおいてない、生ミョウバン高圧洗浄機は初めてやる人はちゃんと買って用意しておいたほうがいいですよ。

自分でなめした革はなんとも言えない愛着がわきます

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僕もやってみるまではわからなかったんですが、実際に以上のような行程をしてきて、とても大変だったのもあるし、あの野山を走り回っていた鹿がこうして革になるというのはなんとも感慨深い気持ちになるりますね。

 

今度はこれをどう商品化して行くのか…それを試行錯誤しながら進めていこうと思っています。

 

では、次回は「鹿のなめし革で作った商品を紹介」するブログをお楽しみにしていてください。

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矢野 大地 (やの だいち)


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