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歴45年の猟師さんから学ぶ、「猟師」という仕事についてのこれから

2017.04.13

どうも高知県の山間部れいほく地域在住の自由になったサルこと矢野大地です。

今回は僕の住む本山町の隣、土佐町のNPO法人れいほく田舎暮らしネットワークの田舎ラボ企画で僕が書いた記事の転載文を紹介します。(記事元はこちら

 

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みなさん中山間地域って聞くと、何を思い浮かべますか?

「山」、「川」、「木」、、、まあ、大規模な自然のことを思い浮かべますよね!

じゃあ、そんなところでどんなシゴトがあるのかって知ってますか?

「農業」、「林業」…そんなくらいしか思い浮かばないですよね〜

でも、実はもっともっといろんなシゴトが混在して生きている人たちが多いんです。もちろんお金にならないシゴトも含めてね!

さて、この記事では僕が嶺北に移住してから、毎日のようにお世話になっているベテラン猟師のけさゆきさんから学んだ「猟師」という仕事について僕の考えをご紹介していこうかと思います。

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昔は林業の棟梁してた!

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彼と話をしているといつも林業の話を聞きます。

昔、日本でも、この嶺北でも林業がとても盛んだった時代がありました。その時、彼は最大10人ほどの人を雇う林業の棟梁をされていたそうです。

その当時は、今の20倍以上も木が売れていた時代で、1本の木を売れば、1人の大工が1ヶ月雇える程のお金だったそうです。すごいですね。今では考えられない金額です。

毎日、1本100万円近くするような木を切って、そのお金で市内で飲んでと言うようなすごい生活をしてたらしいですね。毎日、朝まで飲んで、昼間は林業…

え?いつ寝てるのだろうか…笑笑

まあ、そんなきらびやかな時代から、今では「林業は儲けれない。」と言われて、どんどん林業をする人たちが少なくなってしまっている時代に入り、彼も怪我をしたこともきっかけとなり、林業をやめ、新たな人生を歩むことにしたのです。

※林業は儲けれないというのは一部の意見です。自伐林業などの小規模で利益率を高める方法も近年では推奨されています。

それが、「猟師(ハンター)」というシゴトでした。

猟師(ハンター)というシゴト

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さて、じゃあ、猟師というシゴトってどんなシゴトなんでしょう?

簡単に言えば、「山間部に住む獣(ケモノ)を狩るシゴト」です!

一般的な猟師さんは狩猟をしていい期間が行政的に決められていて、毎年11月15日から翌年2月15日(高知県)でその期間であれば、狩猟免許を持っているひとなら基本誰でも猟を行うことができます。

なので、この期間中は基本山の中に入り、罠や銃を使ってケモノを狩ります。

また、猟師さんの収入源は主に2つで、1つが「狩った獣(ケモノ)を捌いて、精肉して売ること」、2つ目が「特定の狩猟鳥獣に関してかけられている報奨金をもらうこと」です。

 

特に、現代では2つ目の「特定の狩猟鳥獣に関してかけられている報奨金をもらうこと」が一般的な収入源になっている人が多いです。

ちょっとその背景をお話ししておきましょう。

嶺北地域のような中山間の地域に住む人たちは農業や林業をされている方の多くは「獣害」という被害にとても悩まされています。

野生の動物たちによって、田畑が荒らされたり、餌の不足によりスギの根元の皮を食われ枯れてしまう木が増えたり、そうすることでこうした中山間地に住む人たちの生活が脅かされるという事実があります。

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「鳥獣被害の現状と対策(平成28年10月) – 農林水産省」より

こちらのデータを見てもらうとわかるとおり、実際に日本の野生鳥獣による農林水産業に関しての被害は、毎年200億近いというデータがあります。

これは、政府としても何か対策を講じないといけないということで、県や市町村単位で補助金を作り特定の狩猟鳥獣に関して「報奨金」という形で、駆除した頭数に応じてお金を支払うという制度があるのです。

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こちらは高知県鳥獣対策課の出している高知県鳥獣被害防止総合対策交付金交付要綱より抜粋したものです。

これに載っている金額を県や町から報酬としてもらうことで、お金を得る方法もあるんですよね。

ただ、これだけを書くと簡単そうだと思うかもしれませんが、下手くそな人は1年間で1頭すら罠にかからないという悲しい現実もあります。なので、結構特殊なシゴトであるのは間違いないですね。

猟師さんにについていってわかったコト

実は、僕も大学時代から狩猟に興味があって、免許は持っているのですが、自分で獲れる腕はなく…いつも彼についていって、いろいろ教えてもらっている状況なのです。

そんな彼と共に狩猟に関わることで、素人なりにわかってきたことがいつかありました。

それは、

狩猟は高い技術が必要だが、努力し、コツをつかめば誰でもできる

・ジビエは衛生上のハードルがあり難しいが精肉して売ればとてもニーズのあるが、捨てることが多い(特にシカ)

・数名のグループでやることができれば参入ハードルはそんなに高くない

・これだけで食っていくのは難しいが、いくつかのナリワイとまぜあわせてやればいい仕事になる。

ということです。

課題はあるものの条件によっては、しっかり収入も得られるシゴトとなることがわかりました!

僕個人の考えとしては、数名のグループでチームを作って、猟期以外は他のシゴトをしていく形ができればいいな〜と考えています。

「猟師」というナリワイの可能性

猟師は正直、高いスキルを必要とするナリワイだと思います。だから、安易に仕事としたいと考えることは難しいなと思います。

ですが、すでに何十年も狩猟を続けてきている人に学び、その技術をしっかりと受け継ぐことができればナリワイ(収入源)の1つとして考えることができると思うんです。

それに、上述しているように数名のグループでやることで一人一人の負担を減らすとやりやすい環境になると思います。

上記でも書きましたが、一般的に狩猟をすることで対価を得る方法は主に以下の2つ、

 

①狩猟鳥獣の中でも報奨金の出る鳥獣を狩る

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上記でも説明した通り、高知県は特にシカ、イノシシの鳥獣被害が多いため、行政(県、各市町村)から報奨金が出て、猟師のひとがメリットのあるようにして、鳥獣被害の対策を行っています。

つまり、1ヶ月に10頭でもシカ、イノシシを取ることができれば、約8万円ほどの報奨金がもらえる計算になります。

農業などができない季節にはとてもありがたい収入源となりますよね!

 

②加工場で捌いた肉を売り物として売る

実は、狩猟で獲れたシカやイノシシは捨てられることも多いんです。

それはなかなか個人で加工場を持つこともお金がかかり、ハードルが高いからです。

ただ、しっかり血抜きをして処理されたお肉はとっても美味しく、豚や牛などにも引けを取りません。

ちなみに、この嶺北地域でしっかりとした専門の加工場をもっているのは猪鹿工房という場所だけで自ら捌いて、売り物にするのには各自で加工場を貸してもらうことが必要です。

が、自分たちで捌くのは大変だという方もこの工房であれば、一頭をいくらかで買い取ってくれることも行っているみたいです。

興味のある方はぜひ電話などで聞いてみてください。

そのようにして、猟師というナリワイは今後、しっかり加工できる施設の設備を行い、それからその設備を活用して、加工品を作り、それを売っていくというスタイルで稼いでいくのが一番良い稼ぎ方になってくると思います。

現在、都会を中心にジビエブームとも言われ、処理の方法をしっかりすれば、臭みのない美味しく、健康的なお肉が食べられると言われるようになってきました。

まだ、「ジビエって臭いんでしょ」と思っている人は多いですが、一旦口にすれば、すぐにその魅力に価値を見出す人は多いとおもいます。

中山間地域の問題を解決しながら、1つのシゴトとして確立していくことのできるナリワイだと僕自身は思います。

僕も猟師になりたい!

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僕も今すぐには難しいけど、今後数年でこの45年の狩猟歴を持つ猟師さんに教えてもらい、1つのナリワイとして猟師をしていきたいと考えています。

今は、ブログなどのWedサービス、NPOのスタッフという二足のわらじで働いていますが、今後「狩猟」というわらじ、そして、さらに何足ものわらじを履き替えながら、いろいろなシゴトを自分のナリワイとして、生きていきたいと考えています。

高知県嶺北地域ではそれが実現できるし、そうした生き方が今後増えていくのではないかな〜と思いますね。

 

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どうでしたでしょうか?
他にも僕の住むれいほく地域の移住や、仕事、起業についてのことの記事が多く掲載されています。

NPO法人れいほく田舎暮らしネットワークの田舎ラボ企画をどうぞ覗いてみてください!

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矢野 大地 (やの だいち)


NPO法人ひとまき代表理事・猟師・企画デザイナー
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